尿路結石(尿石症)

尿石症とは腎臓から尿道までの尿の通り道に結石が認められる疾患であり、
その結石が生じた部位に応じた症状が認められます。
結石の発生には食生活・ストレス・基礎疾患の関与が考えられており
自宅での予防や生活管理が重要な疾患です。
治療は食餌療法から外科手術まで、幅広く症例ごとによって異なるため
正しい理解が必要です。

尿路結石の概要

尿結石は尿中に含まれるミネラルなどが過剰になったり、
pH(酸性・アルカリ性)が変化することによって

尿中成分が結晶化することで生じます。
結晶化にはストレス(引っ越し・同居猫・生活環境の変化)、膀胱炎、
尿路感染症など腎・泌尿器疾患との強い関連が示唆されています。

犬猫ともに認められる疾患で、代表的な結石の種類には

  ・ストルバイト結石
  ・シュウ酸カルシウム結石
  ・尿酸塩結石
  ・シスチン結石
  ・シリカ結石

などがあります。

レントゲン 膀胱結石 摘出した膀胱結石
▲左:膀胱結石のレントゲン画像
   おなかの中に砂のような大量の石が見えます。
 右:摘出した膀胱結石
 

猫の慢性腎臓病(CKD)の半分が尿結石を持っていたとの報告があり、
非常に臨床上重要な病気です。
猫では現在ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石の割合は50%ずつ
であるのに対し、犬ではストルバイトのほうが優勢であると報告されています。
(それ以外の結石はあまり多くありません)

犬種によって結石の発生率に違いがあり、ダルメシアンでは尿酸塩、
ダックスフントではシスチン、キャバリアではキサンチン結石が多いと言われています。
結石の種類によって治療法が異なってきますのできちんと結石に種類を
診断する必要があります。
また症状の項目で詳しく触れますが、尿路閉塞を引き起こすことで
急激かつ致命的な経過をたどるため注意が必要です。

尿路結石の症状

尿石症はその結石が生じた部位に応じた症状が発生します。
膀胱内に結石が発生すると、膀胱内部の粘膜を傷つけ膀胱炎
血尿・頻尿、膀胱への違和感から腹部の舐め壊し

認められる場合もあります。(動物はおなかの中に違和感がある場合、その表面の
皮膚を舐めたりします。我々がおなかが痛いときにさすったりするのと同じ原理です。
その為皮膚疾患で飼い主様が連れてきた症例が、内臓疾患である場合なども
少なくありません。)
また結石が尿道を傷つけたりすることで、排尿時の疼痛が認められる場合もあります。

これらの症状に加えて、結石が尿管や尿道に詰まってしまうことで
排尿障害を引き起こし、急性かつ致命的な症状を引き起こします。
尿道(膀胱から下流のペニスなど)に結石が詰まることで、おしっこを出すことが
できず膀胱破裂を引き起こします。こうなってしまうと開腹して
膀胱の縫合・腹腔洗浄などを行しかないのですが、それでも治癒率(生存率)
は非常に悪いものとなります。

尿道結石では雌に比べのほうが発生率が高いです。
雄の尿道は雌よりも狭く、結石が詰まりやすいうえに雄犬ではペニスに骨(陰茎骨)が
あるため、尿道の柔軟性・伸縮性が低いことが原因と言われています。
また尿管(腎臓と膀胱をつなぐ管)に結石が詰まることで
急性腎不全を引き起こすケースもあります。
膀胱や尿管が完全に詰まってしまった場合猶予は一日もありません
(我々人間が一日中おしっこを我慢することができないように、
膀胱の許容量を超えてしまいます。)
その為、尿路閉塞を引き起こした症例では、速やかな診断処置が必要になります。

尿路結石の診断

尿結石自体の診断はそれほど難しくはありません。
健康診断がてらレントゲン検査を行った際に

結石が写っていたり(写らない種類の結石もあります)、超音波検査を行うことで
結石を捉えることが可能です。ただし、治療には結石の種類を判別すること
が重要なので、尿検査を行い結晶の確認を行います。
尿道閉塞の症例では、膀胱が破裂寸前まで拡張しているレントゲンが認められます。

結石があることがわかったら、その結石の種類を特定することが治療を
行う上で重要になります。尿を顕微鏡で見ることで特徴と持った結晶像を
捉えることが可能です。

ストルバイト シュウ酸カルシウム
シスチン結晶 尿酸結晶


代表的な結晶像
  左上:ストルバイト結晶。墓石や水晶状の結晶が認められます。
     臨床上非常に多く認められる結石の一つです。
  右上:シュウ酸カルシウム結晶。
     正八面体の結晶で、ストラバイトと並び非常に多い結晶の一つです。
  左下:シスチン結晶。
     比較的稀で六角形の板状の構造をしています。
  右下:尿酸結晶。
     3番目に多く、針状の結晶が認められます。