僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症は犬で最も多い心臓病です。一般的に高齢期で発症し、
急な失神・呼吸困難などで飼い主様が驚かれるケースも多々あります。
多くの場合、臨床症状が現れる前に心雑音が聴取されるため
定期検診などが早期発見・治療に有効です。

心臓というのは全身に血液を送り出すポンプのような役割
果たしています。そして心臓と血管の中にはこの血液の流れ
が一方通行になるように逆流防止弁が存在しています。

心臓
   ▲心臓の解剖図
   ウィキペディアより
   白い矢印が正しい血液の流れです

血液が絶えず一方通行に流れることで、効率よく酸素や栄養を全身に送り
届けることができるようになっています。
(サーキットのコースのようなものをイメージしてください)

僧帽弁というのは簡単に言いますと、心臓の中にある逆流防止弁の一つです。
左心房と左心室の間にある弁で、左心室から全身へと血液を押し出す際に、
血液が逆流(左心房側へと)しないように、ぴったりと閉じています。

僧帽弁閉鎖不全症とはその名の通り僧帽弁がきちんと閉まらなくなった
結果、血液の一方通行が破たんし、血液の逆流が起ってしまう病気です。
弁や腱索(弁の開け閉めを操作するピアノ線のようなもの)が変性し肥厚したり脆くなったりすることが原因として挙げられます。
一般にキャバリアや小型犬で好発し、雄のほうが発症リスクが高いです。

僧帽弁閉鎖不全
   ▲僧帽弁閉鎖不全症の心臓
   ウィキペディアより
   赤い矢印部分で逆流が認められます
症状

僧帽弁閉鎖不全症の症状として、咳・運動不耐・易疲労性・
呼吸速迫・呼吸困難・失神・睡眠障害
などが挙げられます。

僧帽弁閉鎖不全症になってしまうと、血液が一部逆流してしまうため、全身へ
うまく 酸素が送れず
運動不耐性や易疲労性が症状として現れます。
さらに病態が進行すると脳への酸素供給も減少し、失神が症状として現れます。
また心臓から送り出される血液(心拍出量)が減少すると、心臓は何とか心拍出量を
維持しようと心臓のサイズ自体が大きくなります。
この結果、心臓のそばにある気管を圧迫し咳が症状として現れます。

僧帽弁閉鎖不全症が生じることで正常な血流と逆流がぶつかり
高い圧力
が生じます。
この影響で肺の血圧が上昇すると肺水腫(肺の中に水がたまる)が発生します。
これにより呼吸困難が生じます。さらに犬などの四足動物では、背中側の部分での
酸素交換が最も多く(肺が広がりやすい)、横になると溜まった水が背中側に移動し
呼吸が苦しくなったりします。
この結果、寝たいのに寝れないという睡眠障害が引き起こされます。