去勢手術 精巣摘出手術

ここでは動物病院で行われている去勢手術について解説を行っていきます。
精巣を摘出することで繁殖・妊娠を防ぐことが可能となります。
避妊手術と並び動物病院で行われている手術
で一般的にCAST(キャスト)と呼ばれています。

去勢手術の最大のメリット(目的)として
オスの繁殖能力を抑えるという点にあります。

これに加えていくつかのメリットが去勢手術によって得られます。去勢手術を行う
ことで攻撃性を抑え、雄猫の喧嘩やスプレーなど問題行動を改善できる可能性
が挙げられます。雄犬のマーキングの60%・マウンティングの80%、雄猫の
マーキングの90%で改善が認められたとの報告があります。

また男性ホルモンの関与が疑われる疾患、会陰ヘルニア・前立腺肥大・肛門周囲腺腫
などの治療と合わせて去勢手術を行うケースもあります。潜在精巣や精巣腫瘍に対しては
直接的な治療として選択されるケースが多く認められます。
(潜在精巣は精巣腫瘍の発生率が13.6倍高いとの報告があり、手術が推奨されます)

去勢手術の注意点は以下の点です。

肥満傾向

去勢手術後の犬では15~25%程度必要カロリーが減少するとの報告があります。
去勢手術を行うタイミングが犬の成長速度が落ち着く時期と重なることが多く
食餌管理に注意が必要となります。

問題行動・性格について

問題行動の矯正のために去勢手術を行った場合,必ずしも問題行動が改善しない
可能性について十分理解していただくことが必要です。去勢手術を行った猫の
10%でスプレー行動が収まらなかったとの報告があります。
また一般に早期での去勢手術ほど問題行動を改善しやすいと言われていますが、
改善するかどうかは症例ごとに異なるためお約束はできないのが臨床獣医師
としての見解です。

次に性格の変化ですが男性ホルモンの影響で,縄張り意識が現れ攻撃性などが
発現すると言われています。しかし筆者の経験として飼い主様より去勢後のほう
がヤンチャになったと言われるケースが希にあります。
未去勢の犬の70%以上で噛み癖があるとの報告から、去勢を行ったほうが
統計的には攻撃性が抑えられるという点は間違いないと考えられるのですが
飼い主様にとっては飼育されているその子が重要ですので十分理解の上,
手術を検討していただく必要があります。

被毛について

最後に毛質に対して影響を与える可能性があります。
もともと手術を行う子は若齢(成長途中)が多く手術を行わなくても被毛
の質が変わる可能性があります。その為確かなことは言えないのですが、
手術によってホルモンに影響を与えることは十分考えられるため、
一つの可能性として知っておいて頂きたいポイントの一つです。