猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)は猫同士の接触(唾液・鼻汁・性交・乳汁など)
によって感染します。子猫ほど感染しやすく死亡率も高い疾患です。
またリンパ腫との関連についても指摘されています。
現状として根本的な治療法がないため、ワクチンによる予防が特に重要です。

FeLVの概要

 猫白血病ウイルスはレトロウイルス科に属するウイルスで
 主な感染経路は喧嘩による咬傷であると考えられていますが   

 

それ以外でも、同じ食器の使用(唾液・鼻汁による感染)や交尾や
妊娠(胎盤を介した新生児への感染)が起こるとされています。

野良猫 野良猫2
     ▲野良猫での発症が多く
      一般的に幼若齢で重篤化しやすいため
      子猫を拾った場合などは注意が必要です。     

感染しても発症せずにウイルスが消失する場合があり、年齢との関連性が報告されて
います。新生児ではウイルスの暴露により80~100%の症例で持続感染
を引き起こすのに対し、3日月齢では25%まで減少します。一歳を超えた場合では
ほとんど持続感染せずにウイルスが消失したことが報告されています。

またこの猫白血病ウイルスには、名前の由来通り「リンパ腫・白血病」との
関連性が指摘されています。(リンパ腫とはリンパ球の腫瘍化したもので、
血液の癌の一種です。)特に縦郭型リンパ腫との関連が高く、猫の若齢で発症した
リンパ腫の大部分が猫白血病ウイルスによるものと考えられています。

症状

   
感染初期の症状としては

リンパ節の腫れ・貧血・発熱・血小板や白血球の減少などが認めら
れます。この後持続感染を引き起こすかどうかで大きく経過が異なり、症状の
軽い症例や成猫の場合などでは一過性の感染で終了します。

前縦郭リンパ腫 正常猫レントゲン
   ▲左:前縦郭リンパ腫のレントゲン画像
    右:正常猫のレントゲン
    左側の画像では前縦郭に腫瘍ができ、胸水が確認できます。     


若齢などの免疫力の弱い症例では、ウイルスの持続感染を引き起こし
より重篤な症状を引き起こします。感染後数年経過して白血病・リンパ腫
引き起こしたり、免役不全による日和見感染(本来では感染しないような弱い
病原菌やカビなどに感染してしまうこと)や再生不良性貧血などを引き起こし
致命的な経過をたどります。

 
 IMTの診断

猫白血病ウイルス(FeLV)の診断は血液検査によって行います。
採血を行い血液中のウイルス抗原を検出することで、
ウイルスの感染を確認します。

簡易キットを使用することで院内ですぐに検査を行えるのですが、
より正確な検査を行う場合、外部の検査会社を介して診断を依頼するため、
検査結果が出るまでに時間がかかります。

一点、感染直後では検査に引っかからないため注意が必要です。
外で野良猫と接触したからと言ってすぐに検査を行ったとしても
検査結果は陰性となる場合があります。
(感染してウイルスが増殖することで、初めて検査に引っかるようになるため)
もしも感染が疑われる場合、3週間程度時間が経過するのを
待ってから検査を行うことになります。

診断キット
   ▲簡易診断キットです。
   血液を採取し数分間で診断を行うことができます。     


また感染初期の場合、検査が陽性であっても数週間後に陰性となる場合があります。
(これを陰転といいます)持続感染が成立するかどうかで結果は異なり
もしも数か月後の再検査でも陽性であった場合、その症例は生涯FeLV
陽性ということになります。

 
IMTの治療

 ウイルスそのものを除去する手段はないため
 対症療法が治療の基本となります。

ただし感染初期においてはインターフェロン製剤を投与すること
によって、ウイルスの増殖を抑え持続感染に至る確率を下げる可能性
が示唆されています。
ただし、確実な持続感染の防御法はなく、そもそも年齢の高い猫は
治療しなくても持続感染はあまり起こらないため、正確な薬の評価
は得られていません。

慢性感染によって免役不全を呈した猫では抗生剤による日和見感染の防御、
ステロイドの投与による歯肉炎・食欲不全の解消、インターフェロン製剤
の投与などを行います。
リンパ腫→リンパ腫の治療法を参照
その他、貧血や感染症など併発した疾患に合わせた治療を行います。

またFeLVはワクチンによる予防が可能です。その為、野良猫と接する
機会のある仔に関してはワクチンの使用によって感染リスクを抑える
ことができます。
ただしワクチンでの感染予防は80~90%程度と報告されており
完全に感染を防げるわけではありません。
そのため、最も理想法としては感染猫との接触を防いであげることです。